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内科 菅先生のドクタートーク

経鼻内視鏡の話
従来の胃の内視鏡(いわゆる胃カメラ)は口から挿入して食道や胃を観察する検査ですが、経鼻内視鏡とはその字の通り鼻から内視鏡を挿入して観察する検査です。最近テレビの健康番組や新聞などで取り上げられたり、TVコマーシャルでも放映されたりしており、見かけられた方も少なくないと思います。経鼻で用いる内視鏡は、太さが先端約 5mmと細く、操作性も以前のものと比較して格段に改善され、そのためここ数年で使用する医療機関が増えてきています。ここでは経鼻内視鏡の良い点、悪い点などをお話しいたします。


経鼻内視鏡の良い点
1.楽に受けられる
鼻の中を通り真上からのどを通過するので、嘔吐反射が非常に少ないのが経鼻内視鏡の特徴です。嘔吐反射とは、舌の奥を押さえた時に起こる“おえっ”とする反射で、口から挿入する従来の内視鏡では少なからず起こります。これが内視鏡に抵抗を感じる原因の一つなのですが、経鼻内視鏡はその点では非常に楽に受ける事が可能なのです

2.安定剤を使わなくても大丈夫
口からの内視鏡は嘔吐反射があるため、人によっては苦しい検査です。そのため安定剤を注射して受けていただくことが多いのですが、その場合内視鏡検査後に1時間くらい休んでいただく必要があります。その点経鼻内視鏡は嘔吐反射が少ないため、安定剤を使用しなくても大丈夫で、検査終了後すぐに説明を受けることができます。

3.検査中会話ができる
鼻から挿入しているため、検査中でも会話ができます。自分の胃の中をモニターで見ながら説明を受けて、気になることは質問もできるのです

経鼻内視鏡の良くない点
1.視野が暗く、画像が悪い
口からの内視鏡に比べ細い分、光源がやや暗く遠くが見づらく、画像もやや劣ります。病気の見落としが多くなるほどではありませんが、よりじっくり観察する必要があります。

2.鼻の中が狭い方は痛い事がある
人によっては鼻の中が狭く、また非常に敏感な場合があり、痛みを感じる事があります。両鼻を観察して広く入れやすい方で挿入するのですが、それでも入らない時もあり、その場合は口からの挿入に切り替えます。

3.組織を取りにくい場所がある
胃にポリープや癌を疑う部分があった場合、鉗子という器具を使って、その表面の粘膜の一部を採取し検査をします。経鼻内視鏡の場合細いため、ごく一部ですが粘膜を取りにくい場所があります。そのため粘膜を取るのに時間がかかったり、どうしても取れない場合は口からに切り替える場合があります。


実は経口か経鼻かどちらを勧めるかは内視鏡医にとってはジレンマでもあるのです。本音を言いますと従来の経口の内視鏡の方が明るく見やすく、画像も良いので、安心して検査をする事ができます。しかし実際は圧倒的に経鼻内視鏡の方が楽に受けてもらえるので、より多くの方に楽に簡単に検査を受けてもらうためには経鼻内視鏡の方が良いだろうと思います。内視鏡医にとって多少やりづらい面もあるのですが、より慎重により丁寧に行う事によって解決出来る問題です。

いままでは胃の内視鏡は苦しい検査だというイメージがあり、敬遠されていた方も多いでしょう。しかし経鼻内視鏡なら誰でも楽に受けられる簡単な検査だという事が一般的になり、より多くの方が受けられるようになれば、今までよりも早期で発見される癌も多くなり(つまり治る段階の癌で見つかる事が増える)、またピロリ菌に感染している胃が見つかり、除菌を受けられる方が増えると思われます。それによって胃の病気で苦しめられる方が少なくなるでしょう。いままで検査を敬遠されていた方も、一度鼻から受けてみませんか。






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