Vol.2 潰瘍性大腸炎 内科的治療
皆さんは、炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease : IBD)という言葉をご存知でしょうか?炎症性腸疾患とは、狭い意味では潰瘍性大腸炎(Ulcerative
Colitis : UC)とクローン病(Crohn’s Disase : CD)の両疾患を指します。(以下、UCとCD)
UCとCDは欧米で多くみられ、我が国では1970年代まではまれな疾患とされていましたが、それ以後、急激に増加しています。しかしながら、まだ日本では罹患率が欧米に比べ低い状態です。この二つの病気は特定疾患を申請する病気ではありますが、徐々に増えており、2002年でUCが約7万人、CDが約2万人を超えてきています。双方とも十代後半から二十代に多く、若年者に発症するのが特徴とされています。
今回は潰瘍性大腸炎の内科的治療についてお話をしてみます。潰瘍性大腸炎は粘血便を訴えとして粘膜がびまん性に冒され、粘血膿性の分泌物が付着するような形をとる病気です。原因はよく分かっておりませんが、細菌性赤痢、アメーバ赤痢、サルモネラ腸炎、キャンピロバクタ腸炎、大腸結核などの感染性腸炎などを鑑別しなければなりません。
粘膜側の炎症を中心として直腸から徐々に口側に拡がり、直腸炎型、左側大腸炎型、全大腸炎型と病変の拡がりによって分けられています。
今まで治療は、サラゾピリン、ペンタサ、ステロイド、免疫抑制剤等があり、また重症度が高い時には全身管理として強力静注療法といわれる絶食でステロイドをたくさん使い、また広域スペクトル抗生物質も併用し、輸液電解質などを補正するという方法が採られています。最近では、さらにGCAP(顆粒球除去療法)、LCAP(白血球除去療法)という方法ができ、血液透析のように活性化した顆粒球やリンパ球を取る方法が行われるようになってきました。それによってステロイドを使用しなくてもよい患者様も増えてきています。これらの血球成分除去療法はクローン病やリウマチ、またベーチェット病にも応用されるようになってきています。
いずれにしても潰瘍性大腸炎と診断されても、慌てず騒がず専門医の話を聞いて、きちんと加療していかれればよろしいかと思われます。便秘や下痢を繰り返すような方、もしくは症状など何もなくても積極的に内視鏡で定期的に調べることが大切となります。
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